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弁護士田島正広の“立憲派”ブログ

田島正広弁護士が、注目裁判例や立法動向、事件などを取り上げ、法の支配に基づく公正な自由競争社会の実現を目指す実務法曹としての視点から解説します。

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技術スタッフを取り巻くビジネスインテリジェンス上の課題

インテリジェンスにおいては,よくエリント(electric intelligence 電子的諜報活動)と並んで,
ヒューミント(human intelligence 人的諜報活動)が重要な要素として語られますが,ビジネスインテリジェンスにおいても,同様に着眼することができるように思われます。

例えば,工作機メーカーA社が世界最高水準のある技術を持っているとしましょう。これを同業他社のB社が合法的に入手するにはどのような方法がありうるでしょうか?これはビジネスインテリジェンスにおける積極諜報の場面といえます。他方,B社や,あるいは違法な情報収集をも辞さないC社の介入から,A社がいかに技術を守るかが問われる場面は,カウンターインテリジェンス(防諜)の場面といえます。

A社の技術が,特許を出願あるいは取得済みの技術であれば,特許公報をもって誰もがその技術情報を取得することができるので,後はライセンス料を支払ってそれを利用するか,あるいはその技術を参照しつつも,新規発明のレベルに至るような技術の自主開発が可能かが問われることになるでしょう。ここでは,B社にも合法的にA社の技術を取得する方法があることになります。

しかしながら,最先端の技術分野では,公開を避けてあえて特許を出願しないケースもあります。こうした技術は,そのままではA社の内部に留保されているため,B社としてはそれを容易には知ることができません。そこで,B社が合法的にその技術を取得する方法が問われることになります。こうした場面では,まずA社に対して,技術供与やライセンス契約の申し入れをすることが考えられますが,A社が技術流出を避けることを最優先する場合には,それもかないません。そこで,次の策として,A社の技術スタッフの引き抜き工作が考えられることがあります。もちろん,その際A社の技術スタッフに社内情報を持ち出させれば,それが営業秘密の不正取得に該当して違法となる場合(不正競争防止法第2条第1項第4号など)も懸念され,損害賠償責任のみならず刑事責任すら負わされかねません。しかしながら,当該技術を開発したスタッフがB社に移籍後,自身の個人的経験とノウハウを生かして,同様の開発を行うとなれば,それを直ちに営業秘密の不正取得と評価することは困難が伴います【論点:営業秘密の不正取得】。

それでは,A社はスタッフの転職による技術流出を阻止することができないのでしょうか?ここで着眼されるのが守秘義務契約や競業避止義務契約を締結することです。転職による情報漏えいは,情報漏えいの典型場面の一つであり,こうした義務を課すことでいかにそれを阻止するかが問われる訳です。これらの義務を課すに当たっては,その範囲が広範囲に及ぶ場合など,職業選択の自由との関連で法的に無効とされる場合が懸念されるため,判例法理を参照しつつ合理的な範囲を模索することになるでしょう【論点:守秘義務・競業避止義務契約の限界】。
(続く)

弁護士 田島正広

○関連リンク
田島総合法律事務所
フェアリンクスコンサルティング株式会社
パンダ君のコンプラ




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