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弁護士田島正広の“立憲派”ブログ

田島正広弁護士が、注目裁判例や立法動向、事件などを取り上げ、法の支配に基づく公正な自由競争社会の実現を目指す実務法曹としての視点から解説します。

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国家統治の立憲主義と企業統治の内部統制システムの原点「性悪説」

以前,大学院の講義で学生から受けた質問に,「立憲主義を身近な会社に例えるとどのように説明することができますか?」というものがありました。あまり意識したことのない例えではありましたが,確かに,国民による国家統治の場面と,株主による企業統治の場面は通じるところがあります。すなわち,国家においては,主権者国民がその代表者に権限を委任して国家の統治権を行使させることになる一方,株式会社においては,株主が取締役・監査役らの役員を選任し,企業統治を行わせる訳です。権限の配分の際の抑制・均衡という点では,国家統治においては内閣と国会間では内閣不信任決議と衆議院の解散権,内閣・国会と裁判所間では違憲立法審査権が存するのに対して,企業統治においては,取締役・取締役会による経営判断・監督と監査役・監査役会の適法性・会計監査,縦のピラミッドでの内部統制システムと内部通報制度等を駆使したモニタリング等が挙げられます。また,直接的権力行使の場面としては,国家では国会議員の選挙,最高裁判所裁判官国民審査があるのに対して,企業統治では株主総会における役員らの選任,議題・議案提案権,招集請求,帳簿閲覧権等が挙げられます。

そもそも,英語でgovernといえば統治を意味する訳ですが,政府はgovernment,企業統治はgovernanceですから,国家統治と企業統治に通じるところがあるのは,むしろ当然かも知れません。

この点,企業統治においては,グローバリゼーションが進行する中,性悪説に立った内部統制システムの構築が役員の善管注意義務の内実として当然に重要視されています。会社の従業員はもちろん信頼をしたいところですが,万に一つ何らか背任や横領等の出来心を起こしたとしてもそれがチェックされ露見する仕組みを作ることで,そのような行動を未然に防ぐことができる訳です。国家統治においてこれに相当するのが立憲主義です。すなわち,権力者の中にはその権限を濫用して私利に走ったり,強引な戦争に国を導く方も現れないとは限りません。こうした国家機関の権限濫用を阻止するために憲法による歯止めを掛けて,時の政府の判断次第で暴走することを未然に防ぐのが憲法の拘束規範としての役割であり,立憲主義なのです。

近時は,集団的自衛権の行使容認を憲法解釈で認めようとする安倍政権の動きを支持する方々において立憲主義を軽視する傾向が顕著ですが,人間の本質は企業においても国家においても何ら変わりません。人が人である限り,権力濫用なり暴走なりは起こり得るものです。それを阻止するための仕組みの必要性は,いずれにおいても同様のはずです。それとも,企業の従業員や役員は放っておくと暴走しかねない凡人なのに,政治家は聖人君主で神々しく暴走などあり得ないということなのでしょうか???勇気ある憲法改正論議を期待する者として,立憲主義の軽視は決して許すことができません。
                                               
弁護士 田島正広

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