弁護士田島正広の“立憲派”ブログ

田島正広弁護士が、注目裁判例や立法動向、事件などを取り上げ、法の支配に基づく公正な自由競争社会の実現を目指す実務法曹としての視点から解説します。

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米国のシリア軍事介入に対する対処と立憲主義

英下院、シリア軍事介入否決 米高官「単独行動も」(JPN 47 NEWS)

 シリアのアサド政権による化学兵器使用疑惑を受けての米国の有志連合によるシリア派兵問題ですが,イギリスの国会は僅差で派遣を否決したとのこと。この決議に拘束力はないようですが,キャメロン首相は議会承認なしには軍事介入に参加しない意向を表明しています。日本政府も現時点では静観の構えのようであり,海外派遣に対する憲法上の制約を当然の前提とするべき我が国の現状の下では、慎重な対応ぶりは評価できると思います。

 この問題を観るとき,だぶって思い浮かんでくるのがイラク問題です。大量破壊兵器の確かな証拠があるはずが,軍事占領してみたら,結局そのようなものはどこにもなく,派兵の正当性がどこにあったのか,未だに釈然としない訳です。イラクに対しては,有名な「非戦闘地域」との解釈をもって,日本も自衛隊による人道復興・安全確保支援活動等を行ったたことは周知の通りです。

 この種の問題は,図らずもオバマ大統領が明言しているように,自国の国益を最優先に検討されるべきものです。米国の圧倒的な軍事力を背景とした外交力は,今の日本の安全保障に欠くことはできないとはいえ,米国に追随するだけで日本の国益が全うされる訳ではありません。同盟国とはいえ,論戦で軍隊派遣を否決できるイギリスの国会と,これを尊重するキャメロン首相の決断ぶりからは,イギリスにおける法の支配の確たる実態を感じることができます。日本の改憲論争において最も重要なのは,国家権力の限界を定めて権力行使に歯止めをかける立憲主義の下,軍事力行使に対する国会を通じた個別の民主的コントロールを確実にすることと思う次第です(日本が拒否権を持つ常任理事国でない以上は,国連決議を自国国益以上に最大尊重することはできないと思います)。

したがって,こうした海外派兵に関する国会での論戦に当たって重要なことは,国際協調の視点は尊重しつつも,国益の観点からどれだけ踏み込んだ議論ができるかであると私は思います。そして,立憲主義に基づき,必要があれば憲法改正の発議も含めて議論を尽くし,国益の観点から何が必要なのかを訴えるべきです。日本のあるべき将来像・安全保障体制のあり方のトータルプランの提示はその際不可欠というべきでしょう。法の支配を具現化する意識をもって,海外派兵・改憲論議への対処を求めたいと考える次第です。

                                                 
弁護士 田島正広

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