弁護士田島正広の“立憲派”ブログ

田島正広弁護士が、注目裁判例や立法動向、事件などを取り上げ、法の支配に基づく公正な自由競争社会の実現を目指す実務法曹としての視点から解説します。

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尖閣関連暴動被害の救済は外交問題では?

日本が正当に領有権を主張する尖閣諸島に対して,中国は官民挙げて日本の領有に圧力をかけています。その中,中国進出企業の多くに暴動被害が発生していることは報道の通りです。この被害救済を外交問題として論及する論調が顕著ではないように思われるので,あえて疑問を提示します。

今回の暴動が真に見事に中国政府の時宜を心得たコントロールに服していたことは,これまでの経過が示しているように思います。日本人や日本企業に被害を生じさせないようにコントロールすることもまた容易だった訳で,むしろあえてそれをしなかったと評価すべきように思います。そうであれば,日本政府としては,このような暴動による被害の補償を対中外交課題の一つに加えるべきではないでしょうか。そうでなければ,国民の生命,身体,財産を保全するという国家としての責任を放棄することになるのではないでしょうか。

もちろん,暴動は中国国民によって政府と無関係に行われたものである,という反論が容易に予想されますが,それは民主主義国家における抗弁であって,デモも暴動も官制の中国には成り立たないと再反論すればよいことです。

ところで,上記被害を外交問題に挙げるだけでは,目の前の被害救済にはならない虞は高そうです。そこで,中国に進出して暴動の最先端に巻き込まれている日本人や日本企業に対する補償を,第一次的には政府として検討すべきではないでしょうか。危ないところに進出したあなたが悪いというのでは,時の政府の外交の善し悪しのしっぺ返しを常に在外日本人・日本企業が受けることにもなりかねません。対外進出が国益にかなう要素がある限り,それを支援するのが政府の責任です。政府は国民を守ってこそ,その存在意義があるというべきです。

政府として支援した上で,その支出相当額を中国政府に対して求償するというのがあるべき外交姿勢であると思います。これを怠れば,日本政府は中国進出日本人・日本企業を守らないことが対外的に明白となり,結果として事ある毎に日本人・日本企業は同種の被害を被ることになりかねません。政府の積極対応を期待します。


弁護士 田島正広

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尖閣問題への対応の方向性~人権外交による攻勢

尖閣諸島に対する中国の干渉は,政府からのみならず,政府に煽られたかは不明ながらも国民レベルでも顕著となっているように思われます。我が国が歴史的にも継続領有し,実行支配している島々ですから,我が国の領有に関する正当性は当然ですが,激化する干渉に対してどのように対処すべきでしょうか。

私は,もちろん正論は正論として主張することを大前提とし,中国漁船に公務執行妨害があれば処罰すべきは処罰すべきとの立場です。もちろん,殴られたら殴り返すを続けていればいずれ戦争に発展する虞が懸念されますから,振り上げた拳を下ろすタイミングは図らなければならないでしょうし,そのためのパイプ作りも重要でしょう。

ですが,この問題を近視眼的に見ている限り,相手の土俵に乗って相手の手の内で転がされているように思えてなりません。すなわち,中国は,北方領土へのロシアのメドベージェフ首相の来訪や,竹島への韓国の李明博大統領の来訪に対する日本政府の出方や国際的影響も見ながら,尖閣への漁船1隻での上陸敢行を黙認し,日本大使公用車への襲撃事件は軽度の対応で済まし,そして今度は日本に対するデモ及び暴徒による日本企業襲撃への取り締まりには消極的な姿勢で対処し,さらには漁船団が大挙して接続水域に侵入するのを黙認することで,日本政府の対応と国際社会の反応を見極めながら,次の一手を見据えているように思われます。

そもそも中国国民がここまで反日意識を顕著に持つようになったのは,天安門事件以降の反日教育の故であると以前石平氏の論稿で拝見したことがありますが,ご自身で体験した実態事実に着眼した同氏の指摘は信頼に値すると思っています。民主化が実現しないことへのストレスを外に敵を作ることで緩和しようとした中国政府が,経済発展の結果生じた著しい経済格差によるストレス,さらには少数民族の独立機運への封じ込めによるストレスから国民の目をそらすために,より一層反日気運を利用しようとするのは火を見るより明らかではないでしょうか。そう考えれば,事件から81年を経て柳条湖事件を引き合いに出した反日運動が高まっていることについても,容易に納得が行きます。

もとより,満州事変をそのまま正当化するつもりはありませんが,遅れてきた帝国主義を進めるにあたって,軍部の暴走を国民が喝采をもって受け止めた歴史的事実に鑑み,私は国内的には立憲主義による安全保障面での民主的コントロールの貫徹が不可欠と思っています。改憲により軍隊を正面から保有するにしても,海外派兵についての国会の事前承認,緊急事態対応についての事後承認が不可欠との立場です。その際,民主政の成熟が求められることは言うまでもありません。

かかる国内的対応を前提にして,対中外交の在り方を考えるとき,まず真っ先に指摘すべきは,国際的には日米関係を中心とした対中封じ込め戦略の進展と,日本同様中国との南沙諸島問題を抱えるベトナムやフィリピンとの緊密な関係の構築ということになるでしょう。エネルギー政策という点でも,レアアースのように中国のシェアの高いエネルギーの安定供給を諸国との連携によって図ることは,中国の影響力を低減させるために重要です。さらに,改憲を前提としますが,中国と紛争を抱える諸国への武器輸出を伴う防衛面での積極連携もまた,長期的に安定した友好関係を構築し,中国の封じ込めのためには重要と思料します。

実行支配をより強固にするための島々の国有化については,それ自体は大賛成ですが,その際相手の隙を突く狡猾さがあって然るべきであり,中国の反発の程度や諸国の反応を見据えながら,段階的に進行させるべきと考えます。

ですが,それ以上に私が強調したいのは,中国側の反日教育の原点ともいうべき民主化抑止や少数民族独立への抑止に対して,日本がそれらからの解放に対して積極的に支援を行うべきことです。日本には人権という錦の御旗があります。立憲主義に基づく人権国家日本が,自由主義と民主主義の進展を支援するのはむしろ当然のことであり,中国で中国国民がどのように不当に非人道的に扱われていてもそれは内政問題であるという中国政府の詭弁になどお付き合いする必要はないというべきです。そもそも中国は,「市民的及び政治的権利に関する国際人権規約」(いわゆるB規約)のれっきとした締約国なのですから,国連を通じた圧力があって然るべきなのです。民族自決による独立もまた国際社会の当然のルールというべきものであり,同様に正当に支援すべきものといえるでしょう(もちろん,いずれも国益の観点からの外交上の駆け引きを前提としてですが)。

中国への人道的観点からの介入は,ひいて中国の民主化機運を高めることにもつながるはずです。それが近視眼的には不安定要因となる余地は否定しがたいですが,長期的に見れば,人権という共通の価値を共有できる国家として,新たな外交局面を展開する余地は多分にあると思います。こうした介入は,何も武力を必要とするものではありませんから,現行憲法下でも容易に実施することができるものです。

日本政府においては,尖閣問題について近視眼的にその場限りの場当たり的対応をするのではなく,長期的展望に立ってこの問題をより国益にかなう方向性にリードする戦略眼を示して頂きたいと切望します。

弁護士 田島正広

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