
先日,ある自衛隊高官の方の講演を聴く機会に恵まれた。その方は,日米同盟を基軸とする現在の外交スタンスの10年後を語るに際して,様々な情勢分析を踏まえ,幾つかの選択肢を語られたが(もちろんそれを選択するのは政治家であることを前提としながらも),日中同盟の可能性,それも中国の影響力の大きい従属的なニュアンスの同盟の可能性をその一つとして挙げておられた。
講演中,外交とは利害,価値,行動を共有する関係であるとの話があり,講師は利害に力点を置いて日中同盟の可能性に論及していたのであるが,一法律家として私は価値の共有という観点をどうしても軽視することができず,違和感を隠せなかった。なるほど,私も中国人の親しい友人はいるし,中国4千年の文化には歴史や漢詩,食文化を始めとして傾倒するところは大である。だが,80年代の民主化機運を天安門事件で一掃して以降の現在の共産党政権と果たしてどこまで価値の共有ができるのであろうか。我が国はアジア有数の人権国家であり,民主主義国家のはずであるが,こと外交の場面になると,たとえ建前であってもこれらを口にすることがあまり得意とは思えない印象がある。中国との関係強化は,こうした基本理念に立脚した価値観の共有が前提ではないだろうか。これらを大切にすることなく,経済力だけで飲み込まれてしまうような朝貢外交だけはしてほしくないものと痛切に感じる次第である。
弁護士 田島正広
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講演中,外交とは利害,価値,行動を共有する関係であるとの話があり,講師は利害に力点を置いて日中同盟の可能性に論及していたのであるが,一法律家として私は価値の共有という観点をどうしても軽視することができず,違和感を隠せなかった。なるほど,私も中国人の親しい友人はいるし,中国4千年の文化には歴史や漢詩,食文化を始めとして傾倒するところは大である。だが,80年代の民主化機運を天安門事件で一掃して以降の現在の共産党政権と果たしてどこまで価値の共有ができるのであろうか。我が国はアジア有数の人権国家であり,民主主義国家のはずであるが,こと外交の場面になると,たとえ建前であってもこれらを口にすることがあまり得意とは思えない印象がある。中国との関係強化は,こうした基本理念に立脚した価値観の共有が前提ではないだろうか。これらを大切にすることなく,経済力だけで飲み込まれてしまうような朝貢外交だけはしてほしくないものと痛切に感じる次第である。
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