
(17日・毎日新聞)【 八十二銀行(長野市)は17日、カードローンの利用者向けに郵送する明細書について、590人分を誤って他人の明細書と同封し、本人以外に発送したと発表した。明細書には住所氏名、カードローン口座番号、取引履歴が記されていた。】
まだ初期報道の段階ではありますが,外部委託先からの個人情報の漏えい事案は後を絶ちません。今回の漏えいは,ローン明細という信用情報であり,個人情報の中でも重要な情報に位置付けられるものです。その分銀行側には厳重な管理体制が期待されているだけに,残念な事案といえます。
外部委託先の管理は,個人情報保護の分野における一大テーマであり,その選定から取扱い状況の報告授受,監督,さらには委託契約の終了に至るまで,委託元としての管理のあり方がガイドラインにもきめ細かく示されている訳です。今回の事案を通して,それらの諸点についての対応状況が改めて検証されることになるでしょう。
この段階で若干気になるのは,今月12日に利用者の苦情で発覚した事故が,今日になって初めて公表されている点です。コンプライアンスの観点からは,不祥事の速やかな公表が求められますが,二次被害防止その他の理由で公表を先送りすることがどこまで合理性を持つかは,事案の内容にもよることではあります。もちろん,万に一つも不祥事の隠蔽などは許されないのであり,結果的にとはいえ外部の報道を受けて初めて謝罪したとなれば,コンプライアンス上誤解を招きかねず,あまり適切とは言いかねる訳です。こうした場合には,自社の信用への配慮ではなく,何よりも利用者の個人情報の保護の観点に立った判断が求められることになるでしょう。
弁護士 田島正広
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