弁護士田島正広の“立憲派”ブログ

田島正広弁護士が、注目裁判例や立法動向、事件などを取り上げ、法の支配に基づく公正な自由競争社会の実現を目指す実務法曹としての視点から解説します。

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社内告発で制裁人事、オリンパス社員が人権救済申し立てへ

社内告発で制裁人事、オリンパス社員が人権救済申し立てへ

【 東証1部上場の精密機器メーカー「オリンパス」(本社・東京)の男性社員が、社内のコンプライアンス(法令順守)通報窓口に上司に関する告発をした結果、配置転換などの制裁を受けたとして、近く東京弁護士会に人権救済を申し立てる。
 男性の名前は、通報窓口の責任者から上司に伝えられ、異動後の人事評価は最低水準に据え置かれている。公益通報者保護法では、社内の不正を告発した従業員らに対し会社側が不利益な扱いをすることを禁じているが、男性は「こんな目に遭うなら、誰も怖くて通報できない」と訴えている。】

(27日・読売新聞)

 企業におけるコンプライアンス確立のために,内部通報制度は有用な制度として注目されています。法令・企業倫理違反行為を企業が内部的に早期に把握し,調査と改善による自浄作用を発揮することで,コンプライアンス体制の強化を図る趣旨です。

 しかし,せっかく内部通報制度を導入しても,通報者を不利益取り扱いしてしまうようでは,誰も怖くて通報などしないことでしょう。内部通報制度を生かすも殺すも,企業のコンプライアンス確立に向けた本気度次第なのです。「仏作って魂入れず」にならないようにして頂きたいものです。

 今回の事件は,まだ会社側の対応状況が報じられていないため,一方当事者の主張のみをベースとした断定は避けますが,そもそも会社内部の通報窓口への通報は,いかに匿名性を守るといってみても,現実的にそれが難しい場合が多いように思われます。仮に,会社側として不利益取り扱いを一切行っていない場合であっても,通報を行った社員からは,通報を理由とした不利益取り扱いがなされたのでは,との疑念を持たれやすいといえます。今回のような報道に接すると,匿名性の完全に保障された社外の内部通報窓口の併設という視点がさらに重要度を増していくように思われます。

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SFCG、民事再生法を申請

SFCG、民事再生法を申請

【 東証1部上場の商工ローン大手、SFCG(旧商工ファンド)は23日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は3380億4000万円。1978年に創業し中小企業向け融資を手掛けたが、強引な債権回収方法が社会問題となり信用力が低下。融資先企業の経営悪化や金融危機の影響による資金調達難で経営が行き詰まった。 】

(23日・日経新聞)

 SFCGは,商工ローンの代表格であり,債務整理を求める商工業者に厳しい対応を採ることで知られる業者でした。私自身,少なからず苦々しい思いを経験した交渉・訴訟相手でもあります。今回の民事再生手続開始の申立てによってゆくゆく再生計画認可となれば,利息制限法違反による過払い金返還請求中の方は,かなりの範囲で債権を減額されることにもなります。影響は非常に大きいものがあることでしょう。

 ところで,現在の最高裁は,債務者保護に大きく踏み込んでいるため,金融業者に対しては厳しい過払い金返還を認める方向にある訳ですが,その一方で金融業者に対して民事再生が容認されれば,過払い金返還請求も多く無になるという結果となるため,債務者側としてはあたかも「早い者勝ち」の様相を呈することになります。この点,債務者保護を徹底するのであれば,民事再生での解決が望ましいのか疑問が残りますが,再生を認めなければ結局破産するしかない訳で,それでは配当率がさらに下落することも予想され,債務者保護の点では本末転倒となってしまいます。

 他方,金融業者に資金を提供する側にとって見れば,どれほど遡って過払い金の返還を求められるのか全体像が見えずらい中での資金提供は困難を伴う訳で,その結果こうした業者が倒産してヤミ金がはびこるような事態になれば,かえって債務者保護が困難となることも想定されます。過払い事件は,既にかなり返還が進み,今後は件数的にも徐々に減少していくことが想定されますが,そうなると派手に宣伝を行う債務整理専門の法律事務所が,もうけの少ないヤミ金事件(=実際上,経営基盤も脆弱でどこかに消えてしまう場合も多い)を,今後どれだけ本気で受けるのかについての疑問も残るだけに,債務者保護の基盤の行方が懸念されるところです。

 こう考えてくると,政策的立法的な解決の必要性も感じられるところです。商工業者や消費者の保護の観点に立って,しかも近視眼的な目先の視点ばかりでなく,長期的な視点に立った金融業のあり方を再考すべきように思われます。

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ネット犯罪:児童被害、深刻「非出会い系サイト」

ネット犯罪:児童被害、深刻「非出会い系サイト」

【 インターネットのサイトに絡み08年中に犯罪の被害者となった児童(18歳未満)が1516人に上ることが警察庁の調べで分かった。いわゆる「出会い系サイト」による被害者は724人と前年比376人減。一方、日記やプロフィルを書き込んで誰とでも交流できるコミュニティーサイトなどの「非出会い系サイト」に関係した被害者は792人で、出会い系サイトを上回った。警察庁は「非出会い系サイトに関しても深刻な状況にあることが裏付けられた」と分析している。】

(19日・毎日新聞)

 昨年,「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」が制定され,その施行は平成20年6月18日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日からと予定されています。これを受けて,モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)を始め,一見青少年の犯罪被害を助長しやすいように思われるSNSなどのコンテンツ提供事業について,青少年の健全育成の観点からの十分な対応を実施しているかを審査し,社会的なニーズと青少年の保護育成の観点を調和する努力を行う団体も本格的に運用を行っているところです。

 本件記事によれば,コミュニティサイトなどの非出会い系サイトを通した児童の犯罪被害が深刻な状況にあることが報じられており,コミュニティサイト側も監視を強めるとのコメントが報じられています。結果的にとはいえ,こうした被害が抑止されないのであれば,そのような被害の温床になる事業について,コミュニティサイト運用管理体制が整っているとの認定をすることについての疑問も生じかねないことでしょう。この点,上記法律制定の際には,附則第3条で「政府は,この法律の施行後三年以内に,この法律の施行の状況について検討を加え,その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされているため,民間自主努力で結果が出ないとなれば,当初の法案段階で予定されていたような,より厳しい官による規制を正当化することにもなりかねない訳です。

 そのような事態を避けるためには,上記のコンテンツ監視事業者においても,より厳しい運用が求められるというべきです。それが形式的な認定制度になってしまうようでは,安全らしさの隠れ蓑にしかならないのですから。その意味で,実際に重大あるいは多くの被害を生じるコンテンツ提供事業者への厳しい対応を実施することができるかは,民間自主努力のあり方についての重要な試金石と思われます。

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