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弁護士田島正広の“立憲派”ブログ

田島正広弁護士が、注目裁判例や立法動向、事件などを取り上げ、法の支配に基づく公正な自由競争社会の実現を目指す実務法曹としての視点から解説します。

「脳活動からの画像再現技術」とその方向性

人が見た文字・図形、脳活動から画像再現 ATRなど 

【 脳の活動を観察し、人が見ている文字や図形を画像として再現する技術を、国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町)などの研究グループが開発した。基礎研究段階だが、将来は人が思い浮かべている夢やアイデアを画像化して見ることができる可能性があるという。
 研究成果は米国の学術誌ニューロンの11日号に発表した。】(11日・日経ネット)

 
 医学的には大変な進歩なのでしょうし,言語機能を始め脳に障害をお持ちの方には朗報になることと思いますが,人権の視点から見るときには,この技術の方向性には一抹の不安を覚えるところがないとはいえません。

 例えば,科学的捜査方法として,この手法が活用されるとしたら,それは鑑定によるのか,(まさかとは思いますが)捜索差押えによるのか,それによる鑑定結果の信用性はいかに評価されるのか,それをどうすれば争えるのか。あるいは,さらに技術が進歩して,面談しているだけで,密かに相手のウソが分かるような時代になったら・・・。もちろん,それをいかにブロックするかの技術も同時に進歩するのでしょうけれど。

 医療の分野においては,常に技術と倫理の接点において,技術の管理のあり方が問われることになりますが,この技術も,その進歩次第ではまさにそのような観点から議論が必要なものになるのでしょう。

 それにしても,生命の神秘が一つずつつまびらかにされることが人類の発展にとって大いなる一歩であることは間違いないのですが,同時に全てがデジタル化されることによる空しさを感じてしまうのは私だけでしょうか。

弁護士 田島正広

○関連リンク
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