弁護士田島正広の“立憲派”ブログ

田島正広弁護士が、注目裁判例や立法動向、事件などを取り上げ、法の支配に基づく公正な自由競争社会の実現を目指す実務法曹としての視点から解説します。

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「『グーグルマップ』情報流出」の行方

「グーグルマップ」止まらぬ情報流出…マイマップの落とし穴

【 インターネットの地図検索サービス「グーグルマップ」で、閲覧状態になることを知らずに利用者が自作マップに個人情報を書き込み、情報流出させる事例が相次いでいる問題で、利用者側の要請でグーグル社が自作マップを削除しても、マップに記した個人情報が再び閲覧できてしまうケースがあることが25日、分かった。一つの自作マップでも、書き込まれたすべての情報を一度に消去できないためという。同社は特別態勢を敷き、流出した個人情報の削除を進めているが、作業が終わるには数週間はかかるという。】(25日産経新聞)

 記事によれば,グーグルマップの設定の際,「公開」と「非公開」を選択することになるものの,「非公開」とはグーグルでの検索の際,検索対象からはずされる意味とのこと。従って,ダイレクトにURLを打ち込めば当該ページを見ることは可能な上,他社の検索エンジンでは検索可能ということです。

 最近の地図サービスは,携帯電話で歩きながらナビしてもらえたりして,非常に利便性が高いですね。しかしながら,もしその利用状況が広く第三者から検索可能だとしたら,プライバシーや安全の面で重大な支障を来すおそれもあります。

 高度情報化社会の今日,技術的に利便性の高い地図サービスを我々の実生活において十分生かせるかどうかは,サービス提供側のプライバシー配慮に向けた一工夫次第のように思います。グーグルにおいて,プライバシー情報を扱う企業における「人権感覚」が担当者レベルにまで浸透しているかどうか。人権への配慮を欠いた小手先の対応では,場面を変えて同種の問題が起こることを避けることはできないように思います。

弁護士 田島正広

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盗聴とプライバシー~現行法制度の限界と方向性とは?

以前ここで盗撮・盗聴の問題を採り上げたことがありますが,改めて最近盗聴の処罰可能性について取材で尋ねられたところでもあるので,現行法制度を確認しておこうと思います。

・住居に立ち入って盗聴器をセットして盗聴を行う場合
この場合には,住居侵入罪が成立しうる他,民事上も不法行為となりえます(民法709条)。この点,形式的には住居管理者の同意を得ていたとしても,盗聴器を仕掛ける目的であると知っておれば立ち入りを許す訳がないのが通常でしょうから,住居侵入罪の成立を妨げることにはなりません(ただし,事実関係の立証の問題があります)。

・有線電話機・電話線に盗聴器を仕掛けて盗聴を行う場合
有線電気通信の通信の秘密を侵害する場合には,通信の秘密侵害罪が成立する場合があります(同法9条,14条)。住居侵入を伴う場合は,牽連犯でしょうか(科刑上一罪となり重い刑の方で処罰されることになります)。もちろん,民事上も不法行為となりえます。

・無線通信を傍受する場合
特定の相手方に対して行われる無線通信を傍受して,その存在や内容を漏らしたり窃用することが禁止されますが(電波法59条),罰則が適用されるのは無線局の取扱中の無線通信の秘密についてであり(同法109条),処罰範囲が限られます。

住居侵入や秘密漏えい行為の処罰は,盗聴行為そのものを処罰するものではなく,その手段や結果を処罰するものであり,その意味で処罰に限界がある訳です。この観点から,処罰範囲の拡大を求める論調が登場することになります。

この点,私は,盗聴について,単純に処罰範囲を拡大すべきとまでは思っておりません。むしろ,処罰すべき行為を類型的に明確化する方が先決であり,被害法益の重要性や被害の程度,行為の悪質性など,類型的に予想されるところとしてどこまでの処罰の必要性が認められるかを精査することを先行させなければならないと考えています。その上で,行為態様を限定して処罰すべき行為の類型化が可能な限度で,処罰範囲の拡大を検討する余地はあると思っています。

この種の問題は,コンテンツのデジタル化とネットによる流通の促進が被害を爆発的に拡大させるところから,近時とみに議論されるものです。情報化社会の負の部分にいかに対処すべきか,悪質な侵害行為を防止してプライバシー保護を推進する一方で,処罰範囲の不当な拡大によって正当な行為まで制限されることのないような配慮が求められる所以です。

弁護士 田島正広

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