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弁護士田島正広の“立憲派”ブログ

田島正広弁護士が、注目裁判例や立法動向、事件などを取り上げ、法の支配に基づく公正な自由競争社会の実現を目指す実務法曹としての視点から解説します。

爆笑問題・太田光さんへの殺害予告・逮捕に見るネット社会の歪み

爆笑問題・太田をネットで殺害予告し逮捕

【インターネットの掲示板「2ちゃんねる」に、お笑いコンビ爆笑問題の太田光(43)への「殺人予告」を書き込んだとして、警視庁杉並署は27日までに、埼玉県上尾市、無職小沢史人容疑者(32)を脅迫容疑で逮捕した。同容疑者は、太田を名指しで、包丁を使って「確実に殺します」と宣言。太田がテレビ番組で、ネットでの殺人予告を批判する趣旨の発言をしたことを知って、あえてターゲットにしたといい「冗談のつもりだった」と供述しているという。】

(28日朝日新聞)

ネット上の匿名掲示板においては,以前から無責任発言が氾濫しており,近時は殺害予告などの脅迫行為すら頻繁に見られるようになってきました。最大掲示板の2ちゃんねるでは,こうした脅迫行為の程度に至った発言については,警察へのログの開示に応じているようで,比較的スピーディに犯人逮捕に至るケースが多いようです。この種の事件が頻発すること自体は遺憾なことですが,無責任言論にはしっかりと責任を問うべきですから,令状捜査に対するログ開示は妥当なところです。

ただ,2ちゃんねるの場合,刑事事件に至らない程度の民事上の不法行為に対しては一切協力を拒否している状況であり,裁判所の判決すら事実上無視しているところです。こうした状況が続けば,ネット掲示板管理者に対する国の管理,監督といった発想が正面に出てくることも想定され,「自由なインターネット文化」を却って没却する結果にもなろうというものです。公平な第三者であり理性の府である裁判所の判決は,公正なルールに従った自由競争社会の維持・運営において最も尊重されなければならないものであり,民事紛争においても一歩踏み込んだ対応が望ましいことは当然のことと思料します。

弁護士 田島正広

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日本年金機構 懲戒処分の867職員を不採用へ

日本年金機構 懲戒処分の867職員を不採用へ

【政府・与党は、社会保険庁の後継組織「日本年金機構」では懲戒処分を受けた社保庁職員867人全員を採用しない方針を固めたと、2008年7月23日付の新聞各紙が報じた。この方針を盛り込んだ新組織の基本計画を近く閣議決定する見通しという。】

(23日J-CASTニュース)

社会保険庁の後継組織「日本年金機構」においては,社会保険庁において年金記録ののぞき見や年金保険料の不正免除などで停職,減給,戒告処分を受けた職員を採用しないことになるとのことですが,懲戒と一言でいっても,その程度には相当程度の差異があります。確かに,社会保険庁の職員の意識と国民の期待との間には随分なずれを感じるところがあり,国民的批判にさらされて来たことも事実です。その点で,身から出たさびとは言いながらも,一律不採用との判断には,懲戒内容を知らない立場として,若干もやもやしたものが残る気がしています。

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大分県の教員採用汚職に見るコンプライアンスの第一歩

教員採用汚職:不正判定困難か 大分県教委は資料破棄

【大分県の教員採用汚職事件を受け、不正合格者を解雇し、本来合格していた受験者を救済する方針を打ち出した県教委。横行してきたコネと、カネにまみれた採用、昇任……。県教委幹部、校長、教頭ら教育者5人が贈収賄容疑で逮捕され、事件はさらに広がる様相を見せる中、県教委の組織改革や“被害者”救済に向けた動きが出始めた。だが、強制力のない内部調査がどこまで効果を上げられるのか。】

(16日毎日新聞)

大分県の教員採用汚職では,小矢教育長は「不正の確認がどこまでさかのぼれるか、プロジェクトチームで検討したい。可能なところまでさかのぼりたい」と述べたとのことですが,一方で各年度末に答案用紙などを破棄していたことが判明しているとのことです。これでは,いかに教育長が、「資料の確認ができれば毅然(きぜん)とした対応を取る」と答えて見ても,全く説得力を感じません。

そもそも法令・倫理違反行為を抑止するための最大の抑止力として,痕跡をしっかり保存することが挙げられます。最大の痕跡である答案用紙などの原典資料が廃棄されるとなれば,違法行為の発覚する虞も逓減するというものです。

企業経営においても,アクセスログを始めとする痕跡の保存が,次なる違法行為の最大の抑止力となることは自明の理とされています。大分県が今後どのような改善策を明らかにすることができるのか,注目しています。

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アフリカ支援強化 拡大会合、貧困撲滅で一致

アフリカ支援強化 拡大会合、貧困撲滅で一致

【主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)は7日午後開幕し、3日間の議論が始まった。初日は主要国(G8)とアフリカ7カ国の首脳らによる拡大会合を行い、アフリカの食料生産能力の向上や貧困撲滅へ向け、支援を強化することで一致した。混乱が続くジンバブエ問題に関しては、主要国側から強い懸念が表明された。この拡大会合で出された意見は、8日に主要国だけで行われる会合に反映される。】

(8日中日新聞)

このサミットでは,食糧問題や環境問題が重要課題となっています。これらは,もちろん世界の全ての人々の生活基盤に関わる問題であるばかりでなく,いやそれ故にこそ世界の不安定要因の最たるものとなりうるものです。安全保障の観点から見ても,エネルギー問題などと並んでこれらの不安定化の回避によるバランスの維持は非常に重要な位置付けとなることでしょう。

明日の声明で,どのような成果が発表されるのか,注目しています。

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「子どもとケータイ」発売!

「子どもとケータイ」発売(リックテレコム)

小中学生の携帯電話の利用に関しては,今日いろいろ議論のあるところです。
私は,その世代の精神的成熟度に応じたフィルタリングを活用しながら,極力コミュニケーションツールとしての携帯電話を子どもから遠ざけることなく,むしろその適切な利用のために求められる社会常識やルール,そして自分の言動によって傷つく相手の気持ちを教えてあげることが重要だと思っています。

この本は,そんな観点から親の立場に立って,子どもとどう接していくかについて書かれたもので,実は私もコラムを5つほど書いています(なんだ,そういうことか!?という訳です(笑))。皆さん,どうぞお読み下さい!

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デジタル放送:ダビング10解禁

デジタル放送:ダビング10解禁 五輪商戦が白熱 家電量販店、販売増に期待

【録画したデジタル放送番組の複製回数を1回から10回に緩和する「ダビング10」が4日、解禁された。メーカーが著作権者に支払う「私的録音録画補償金」をめぐる両者の対立により、当初予定から1カ月遅れの船出となった。録画ニーズが高まる北京五輪まで1カ月に迫り、メーカーや家電量販店は「夏のボーナス商戦がさらに盛り上がる好材料だ」と期待を高めている。】(5日毎日新聞)


ここのところ多忙だったので,このブログも更新できなかったのですが,今日からまた再開です。

早速ですが,デジタル放送のコピー制限を緩和する“ダビング10”が解禁になりました。ユーザには朗報です。

デジタル・コンテンツについては,コピーによる品質劣化がないことから,コピー制限を緩和することが違法利用にもつながりかねない要素があります。そのため,著作権の保護と利用の妥当な調整を巡る議論が容易には決着しません。You Tubeなどのサイトへのデジタルコンテンツの無断投稿なども一時は問題となっていましたが,最近は単純に違法複製・投稿を制限するという発想から,ユーザのコンテンツの利用のあり方を広く捉えながら,著作権者への補償を初めとする権利保護も同時に配慮するという発想に向かいつつあるようです。私も,一部の違法利用者への対策に力点を置くあまり,大半のユーザが不便な思いをするのはいかがなものかと思います。今回のダビング10解禁は,こうした流れに沿う結論ということになるのでしょう。

しかし,コピーワンスの場合には,ディスクに落とすと自動的にハードディスクから消えていた番組が,今後はそのまま残ることになるので,整理整頓の苦手な方は,ハードディスクがすぐに一杯になってしまうかもしれませんね(笑)。

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