
(28日朝日新聞)【インターネットの掲示板「2ちゃんねる」に、お笑いコンビ爆笑問題の太田光(43)への「殺人予告」を書き込んだとして、警視庁杉並署は27日までに、埼玉県上尾市、無職小沢史人容疑者(32)を脅迫容疑で逮捕した。同容疑者は、太田を名指しで、包丁を使って「確実に殺します」と宣言。太田がテレビ番組で、ネットでの殺人予告を批判する趣旨の発言をしたことを知って、あえてターゲットにしたといい「冗談のつもりだった」と供述しているという。】
ネット上の匿名掲示板においては,以前から無責任発言が氾濫しており,近時は殺害予告などの脅迫行為すら頻繁に見られるようになってきました。最大掲示板の2ちゃんねるでは,こうした脅迫行為の程度に至った発言については,警察へのログの開示に応じているようで,比較的スピーディに犯人逮捕に至るケースが多いようです。この種の事件が頻発すること自体は遺憾なことですが,無責任言論にはしっかりと責任を問うべきですから,令状捜査に対するログ開示は妥当なところです。
ただ,2ちゃんねるの場合,刑事事件に至らない程度の民事上の不法行為に対しては一切協力を拒否している状況であり,裁判所の判決すら事実上無視しているところです。こうした状況が続けば,ネット掲示板管理者に対する国の管理,監督といった発想が正面に出てくることも想定され,「自由なインターネット文化」を却って没却する結果にもなろうというものです。公平な第三者であり理性の府である裁判所の判決は,公正なルールに従った自由競争社会の維持・運営において最も尊重されなければならないものであり,民事紛争においても一歩踏み込んだ対応が望ましいことは当然のことと思料します。
弁護士 田島正広
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