弁護士田島正広の“立憲派”ブログ

田島正広弁護士が、注目裁判例や立法動向、事件などを取り上げ、法の支配に基づく公正な自由競争社会の実現を目指す実務法曹としての視点から解説します。

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携帯電話の学校支給~「制携帯」を考える

携帯電話も学校支給?--神戸の私立学校が検討

【 生徒が使用する学校指定の携帯電話導入を、神戸市にある私立須磨学園が計画している。早ければ2010年春にも導入される。】

(23日CNET Japan)

携帯電話を子どもに持たせるべきかについては,論点が錯綜しているように思いますので,整理しますと,

1 学校などの教育現場に携帯電話を持ち込ませてよいか
2 プライベートな場面で携帯電話を持たせてよいか

ということになるのだろうと思います。

子どもに携帯電話を持たせることを学校側が正面から認めてしまうと,携帯電話の使用のマナーやルールを教えなくてはならないという問題に直面することになるので,そこに踏み込みたくない人は,学校では禁止という形で議論を封殺する傾向にあるように思われます。すなわち,学校が禁止しているものを親が勝手に使わせているのだから,学校は一切関知しないという論です。

この点,校内で,特に授業中に携帯電話を私的に使用することを容認するべきなどという人はそうはいないでしょう。校内での使用制限はむしろ当然のことと思います。

ただ,その際には,幾つか危惧される点があります。例えば,校内への持ち込み自体を制限するとなると,特に長距離通学している子どもの場合,放課後の親などとの安全確認のためのコミュニケーションが困難となってしまいます。あるいは,いったん帰宅後塾に通う際に携帯電話を利用することは,学校と無関係ということになると,携帯電話のマナーやルールをいつ誰がどのように教えることになるのでしょうか。

「学校では禁止」ということと,「学校で携帯電話のマナーやルールを教える必要がない」ということは同義ではありません。いくら利用を禁止して,子どもを「純粋培養」してみても,18歳になって外の世界にデビューすれば,いきなり出会い系サイトの被害に遭うかもしれませんし,他人を誹謗中傷するかもしれません。それではせっかくの教育の意義が達せられないと私は考えています。

今回の報道では,学校側が機能制限を付した携帯電話を配布し,授業でも使用する一方,通常の授業では従前通り使用禁止とするとの扱いとのことです。学校側でどの程度携帯電話のマナーやルールを教えるのかは報じられていないので未知数ですが,禁止するだけでは解決しない問題に正面から取り組もうとする姿勢は真に正論と感じています。今後の動向に注目したいと思います。

弁護士 田島正広

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ネット犯罪:児童被害、深刻「非出会い系サイト」

ネット犯罪:児童被害、深刻「非出会い系サイト」

【 インターネットのサイトに絡み08年中に犯罪の被害者となった児童(18歳未満)が1516人に上ることが警察庁の調べで分かった。いわゆる「出会い系サイト」による被害者は724人と前年比376人減。一方、日記やプロフィルを書き込んで誰とでも交流できるコミュニティーサイトなどの「非出会い系サイト」に関係した被害者は792人で、出会い系サイトを上回った。警察庁は「非出会い系サイトに関しても深刻な状況にあることが裏付けられた」と分析している。】

(19日・毎日新聞)

 昨年,「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」が制定され,その施行は平成20年6月18日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日からと予定されています。これを受けて,モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)を始め,一見青少年の犯罪被害を助長しやすいように思われるSNSなどのコンテンツ提供事業について,青少年の健全育成の観点からの十分な対応を実施しているかを審査し,社会的なニーズと青少年の保護育成の観点を調和する努力を行う団体も本格的に運用を行っているところです。

 本件記事によれば,コミュニティサイトなどの非出会い系サイトを通した児童の犯罪被害が深刻な状況にあることが報じられており,コミュニティサイト側も監視を強めるとのコメントが報じられています。結果的にとはいえ,こうした被害が抑止されないのであれば,そのような被害の温床になる事業について,コミュニティサイト運用管理体制が整っているとの認定をすることについての疑問も生じかねないことでしょう。この点,上記法律制定の際には,附則第3条で「政府は,この法律の施行後三年以内に,この法律の施行の状況について検討を加え,その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とされているため,民間自主努力で結果が出ないとなれば,当初の法案段階で予定されていたような,より厳しい官による規制を正当化することにもなりかねない訳です。

 そのような事態を避けるためには,上記のコンテンツ監視事業者においても,より厳しい運用が求められるというべきです。それが形式的な認定制度になってしまうようでは,安全らしさの隠れ蓑にしかならないのですから。その意味で,実際に重大あるいは多くの被害を生じるコンテンツ提供事業者への厳しい対応を実施することができるかは,民間自主努力のあり方についての重要な試金石と思われます。

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「子どもとケータイ」発売!

「子どもとケータイ」発売(リックテレコム)

小中学生の携帯電話の利用に関しては,今日いろいろ議論のあるところです。
私は,その世代の精神的成熟度に応じたフィルタリングを活用しながら,極力コミュニケーションツールとしての携帯電話を子どもから遠ざけることなく,むしろその適切な利用のために求められる社会常識やルール,そして自分の言動によって傷つく相手の気持ちを教えてあげることが重要だと思っています。

この本は,そんな観点から親の立場に立って,子どもとどう接していくかについて書かれたもので,実は私もコラムを5つほど書いています(なんだ,そういうことか!?という訳です(笑))。皆さん,どうぞお読み下さい!

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成立した青少年有害サイト規制法とその運用への懸念点

このブログでも度々採り上げてきた「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」案が本日の参議院本会議で可決成立しました。詳細は下記をご覧下さい。

「青少年ネット規制法」成立(11日ITメディアニュース)

この法律の概要としては,次のような点が挙げられます(なお,参議院で可決された法律案の条文は未入手ですが,衆議院法律案からの重要な変更はないようです)。

・有害情報の定義については,「青少年有害情報」とは、インターネットを利用して公衆の閲覧(視聴を含む。以下同じ。)に供されている情報であって青少年の健全な成長を著しく阻害するもの」とした上で,例示列挙をするに留めていること。

・内閣府に、インターネット青少年有害情報対策・環境整備推進会議を置き,青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策等を審議すること。

・携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、契約の相手方又は携帯電話端末の使用者が青少年である場合には、青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を条件として、携帯電話インターネット接続役務を提供しなければならないこと(ただし、その青少年の保護者が、青少年有害情報フィルタリングサービスを利用しない旨の申出をした場合は、この限りでない)。

・インターネット接続役務提供事業者は、インターネット接続役務の提供を受ける者から求められたときは、青少年有害情報フィルタリングソフトウェア・サービスを提供しなければならないこと。

・青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを開発する事業者等は、青少年有害情報であって閲覧が制限されないものをできるだけ少なくするとともに、(1)閲覧の制限を行う情報を、青少年の発達段階及び利用者の選択に応じ、きめ細かく設定できるようにすること、(2)閲覧の制限を行う必要がない情報について閲覧の制限が行われることをできるだけ少なくすることに配慮して青少年有害情報フィルタリングソフトウェア又はサービスを開発又は提供するよう努めなければならないこと。

・サーバ管理者は、その管理するサーバを利用して他人により青少年有害情報の発信が行われたことを知ったとき又は自ら青少年有害情報の発信を行おうとするときは、当該青少年有害情報について、インターネットを利用して青少年による閲覧ができないようにするための措置(以下「青少年閲覧防止措置」という。)をとるよう努めなければならないこと。

・青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの性能の向上及び利用の普及を目的として、青少年有害情報フィルタリングソフトウェア・サービスに関する調査研究・普及及び啓発業務,同ソフトウェアの技術開発の推進業務を行う者は、総務大臣及び経済産業大臣の登録を受けると共に,大臣はその業務の状況に関し報告又は資料の提出を求め,その登録取り消し権限を有すること。

衆議院提出時の法律案はこちら

以上の概要を観ての私見を述べさせて頂きます。

(1)登録制のフィルタリング推進機関との関連での,有害性判断への国の間接的関与に対する懸念

この法律は,法案策定過程において,有害情報を国側が規定する内容から,例示列挙に留めてフィルタリング事業者の判断に委ねる方向に変更がなされました。有害性を直接国側が判断する仕組みではなくなったとはいえ,登録制のフィルタリング推進機関制度との関連で懸念するところがないではありません。すなわち,フィルタリング推進機関制度は,フィルタリングに対する国の関与を認めるものですから,フィルタリングの判断内容に関して国が干渉する余地がある限り,有害性判断への国の間接的関与を許すことになります。条文上は,「フィルタリング推進業務の適正な運営を確保するために必要な限度において」の関与とされていますが,もっと明確にフィルタリングの判断内容に関する関与を許さないように規定すべきだったと思いますし,今後の省令の制定や運用に当たっても,その方向を意識して頂きたいところです。

(2)段階的フィルタリングと,有害性判断に際しての実体・手続両要件への配慮の重要性

繰り返し述べてきたように,フィルタリングを民間事業者に委ねるとしても,同事業者が有害と判断した情報は青少年の閲覧ができなくなる訳ですから,条文にもあるように「青少年の発達段階及び利用者の選択に応じ、きめ細かく設定できるようにすること,(2)閲覧の制限を行う必要がない情報について閲覧の制限が行われることをできるだけ少なくすること」への配慮をしっかり行って頂く必要があります。有害性判断の内容とその判断過程,フィルタリングで排除される情報提供者等の異議申立手続などへの配慮は重要です。

(3)将来のより強い規制に対する懸念

この法律は,現時点での民間努力の可能性を大前提として,緩やかな規制に留めた要素が強いですから,今後の民間努力の状況次第では,より強い規制に発展する虞が否定できません。民間努力の重要性が強く認識されなければならないといえます。

ただ,私はこの点を否定的にばかり捉える必要はないと思っています。なぜならば,より緩やかな段階的規制でも効果を揚げられないことが確認できたということこそが,表現の自由に対するより強い制限を正当化する何よりの根拠となるのであって(いわゆるLRAの原則(より制限的でない規制手段の不存在を規制側が立証しない限り違憲とする,表現の自由規制立法の合憲性判定基準)を参照),反対にいえば,緩やかな規制で成果が上がった以上は,それ以上の規制を正当化することができないからです。ぜひ関係事業者の皆さんの自主的努力による成果により,次なる規制へと進まないよう期待したいところです。

関連記事:衆院通過した「青少年ネット規制法案」に新聞協会が懸念表明(6日ITメディアニュース)

関連リンク:いわゆる「青少年ネット規制法」が成立、どのような影響が今後考えられるのか?(11日GIGAZINE)

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携帯有害サイト規制、与野党合意と今後の課題

携帯有害サイト規制、与野党合意へ

<携帯電話の有害サイトから青少年を守るための対策について、与野党は2日、国会内で実務者協議を開き、対策新法案に合意した。特定のサイトを見られなくする「フィルタリングサービス」の導入を携帯電話各社に法的に義務付けることが柱。各サイトの健全性を巡る基準づくりや判断は民間の第三者機関に委ねる。国の関与を最小限にとどめることで、最終的に折り合った。>(3日日経新聞)


度々、このブログで触れてきた青少年有害情報規制法案ですが、6月2日与野党合意に達したとのことです。

この問題では、自民党の議員立法案が従前、有害情報の認定を行う機関を国が指定することとしていたのに対し、民主党側が民間の判断に委ねるべきとして対立してきました。

国(あるいは国の指定する機関)が、情報の有害性を選別してその閲覧を制限することは、知る権利に対する制限ともなりますから、慎重な対応が求められることは、既にこのブログでも述べてきました。

有害情報の選別を民間努力に委ねる点は、知る権利に対する直接的な制限を回避するという点では、歓迎すべきものと思います。

ただし、フィルタリングが義務づけられることになる点では、子どもの知る権利との微妙な問題は残ります。子どもが知りたい情報を知ることができなくなる点には、変わりがないのです。仮に、発育の程度に照らして本来シャットアウトする必要のない情報まで含めて、広範にフィルタリングをかけるようなことになると、民間同士とはいえ知る権利の不当な制限として、不法行為(民法709条)に該当する事態も起こり得ない訳ではありません。

有害性を民間の判断に委ねるといっても、ある機関の判断が業界標準となることで、事実上子どもの知る権利に対する制限の範囲が決定されることにもなるのですから、有害性の判断に際しての内容面での判断の適正と、その判断を行うための手続における公平性の担保や不利益処分を受ける業者の異議申立等の手続保障については、慎重に検討して頂きたいと思います。特に、子どもの発育の程度に応じた段階的な対応にはぜひ配慮して頂き、杓子定規な規制とならないよう期待したいものです。

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