弁護士田島正広の“立憲派”ブログ

田島正広弁護士が、注目裁判例や立法動向、事件などを取り上げ、法の支配に基づく公正な自由競争社会の実現を目指す実務法曹としての視点から解説します。

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司法修習生の「貸与制」と職業選択の自由

司法修習生の給費制継続問題については,1年間の猶予という形で先般国会において暫定的な処理がなされました。裁判所法自体は既に貸与制に改正されており,その実施期限の問題との位置付けです。

ところで,これまで給費制を維持する一方で,司法修習生の身分は国家公務員に準じる地位とされ,兼業禁止や守秘義務を負わされると共に共済組合への加入なども認められてきました。しかし,今回の改正においては,単に給費制を貸与制に改めるのみで,司法修習の本質についての議論があまり聴かれません。

そもそも貸与制においては,給与を受けることがなく,給与の対価となる労務の提供も予定されず,労働契約はありません。となれば,それは職務専念義務になじむものでもなく,兼業を禁止されるいわれもないように思えます。もとより,修習の実を挙げるためにそのような職務専念義務を維持する意味はあると思いますが,それが兼業禁止を伴うものとなるのは,真に違和感が残ります。せいぜい,努力規定程度の位置付けがよいところなのではないでしょうか(注)。

労働ではなく,単なる研修ということであれば,果たして兼業を禁止すべきなのかどうか。職業選択の自由に対する制限の合憲性の問題として捉えると,経済政策上の立法政策だけの問題ではないことから合理性の基準というよりはより厳格な基準で立法の裁量の幅を限定すべきように思います。その際,兼業禁止の緩和策としての修習資金貸与制度が,職業選択の自由の制限それ自体の合理性を担保するだけの説得力を持つのでしょうか。私にはどうにも腑に落ちないところです。


(注)
なお,修習の性質上守秘義務を課すことには全く異論はありません。


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検察審査会のあるべき姿とは!?

民主、検察審見直しで圧力?…議連発足

【 小沢一郎・民主党幹事長(67)の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で、小沢氏を「起訴相当」と議決した検察審査会について、民主党を中心にした議員連盟が「国民感情に司法が揺さぶられている」と疑問を呈し、検察審査会制度の見直しを求めている。】(30日・読売新聞)



検察審査会の小沢幹事長起訴相当議決が契機となって,国会内で検察審査会制度の見直しの機運が高まっているとのこと。この点,被疑者の起訴に関する決定権限を有する検察庁は,人事上民意から隔絶された機関であることから,その起訴・不起訴の決定が時に独善的となり,民意からかけ離れたものとなってしまうことが懸念される結果,その是正手段を民意に求める趣旨です。検察審査会の議決に加われるのは無作為に抽出された少数の有権者ということになり,そこに特段の専門性は求められていません(逆に弁護士など法曹界関係者は除外されています)。

司法制度における専門的な判断を専門家以外の民間人に委ねるという点では,裁判員制度と同様,素人にどこまで判断ができるのかという点での危惧感が示されることにもなるでしょう。また,選挙で選ばれた政治家の政治生命を絶つことにもなりかねない起訴相当議決を,何ら選挙を経ず国民を代表しない一部の有権者が行うことには,それ自体非民主的との批判もあることと思います。

ですが,仮に国民投票で検察官の判断を覆せるとした場合には,国民的な人気や世論操作が起訴・不起訴の判断に影響する結果,適正な司法権の行使に重大な懸念を伴うことにもなりかねません。直接かつ過度の民意の反映がかえって好ましくない分野といえると思います。この観点から現行制度を見るとき,無作為抽出による選出によって不偏性を担保し,密室での議決によって民意の過度の反映を避けつつも,普通の市民の普通の感覚を起訴の判断に反映しようとする点,そして起訴強制のためには2度の議決を要するものとして慎重な判断を求めている点で,一応の合理性を有するように思いますが,皆さんはいかがお考えでしょうか。

この点,より一層の専門性を期待する声もあると思います。なるほど,専門的な判断を別の専門家に委ねることは専門性の担保の観点からは重要な意味を持ち得ます。しかし,誰をその地位に据えるかについて,公平性の担保がない限り,かえって起訴・不起訴の判断に政治権力の介入の虞を否定できないように思います。ここが最も難しいところではないでしょうか。その辺,好むと好まざるとにかかわらず,裁判官や弁護士から無作為抽出して選ばれた委員に専門意見を期待しつつ,人数構成上一般有権者の意見が反映できるように工夫するという方法もあるかも知れません。その場合は,名簿作成・管理段階での公平性担保手段が問われるように思います。

なお,起訴強制となっても,それはこれから刑事裁判が始まるというに過ぎません。被告人は本来無罪推定ですから。起訴議決をもって政治的圧力をかけようとすることは,むしろその政治的道義的責任の問題です。無実を主張するならそれを国民に訴えかければよい訳ですし,お騒がせして申し訳なかったというのであれば,その次元での対応がありうることでしょう。



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日弁連会長選挙と司法制度改革の方向性

日弁連会長に宇都宮氏 再投票、改革訴え主流派破る(10日・朝日新聞)


千葉法相、司法制度改革「先祖返りすることがないよう」(12日・日経新聞)


日弁連会長選挙は10日再投票が行われ,宇都宮健児候補が山本剛嗣候補を破り,当選を果たしました。前回投票では投票総数で下回った宇都宮候補が,総数でも山本候補を逆転し,獲得単位会数もさらに増やしての当選でした。この選挙で特に地方からの風を感じるところは顕著にあったように思いますが,その要因をざっと挙げれば次のようなものでしょうか。

・法曹人口論では,年間3000人増員の閣議決定の背景となった法律家の社会での活躍への期待とそれが達成できていない現実とのギャップ感が強まっていること。

・裁判制度の改革という点では,裁判員制度への対応が進む一方で,そのあり方に疑問を呈する意見もなお根強く,また,地方の支部などでの裁判は裁判官不足で物理的に限界があること。

・業務という点では,法テラスや被疑者国選業務など業務数自体は確保できていても,苦労に見合う報酬を得ている認識は弱く,これらに依拠せざるを得ない若手には疲弊感が強いこと。

・法曹養成制度という点では,ロースクール教育が理念を十分に実現できていない認識が広がり,その改善の必要性が指摘される一方,その方向性への確信を持てない会員も少なくないこと。

・会務運営という点では,「主流派」(新聞用語ですが)と反主流派の色分けが顕著な時代が続いたことから,多数を占める主流派の組織力による支配への閉塞感が広がり,多様な価値観を反映すべき法の支配の担い手としての立ち位置に疑問を感じる会員も少なくなかったこと。

ざっと挙げると,こんなところでしょうか。もとより,一つずつ取ってみても,それぞれ反論の余地があるところですから,あくまで社会現象としてそいうした現象があったように思うとの私見を述べる程度の意味になりますが。

確かに,年間3000人増員されれば企業にも官庁にも弁護士が溢れ,社会の隅々まで弁護士の活躍によるコンプライアンス体制の構築と社会正義の実現が進むかに説明されてきましたが,現実的にはそのような状況にはなっていません。むしろ,社会経験のない新人弁護士を敬遠する企業もあるように思います。

また,司法予算の増額の必要性はつとに指摘されてきましたが,それが十分でないために,例えば,地方では支部に裁判官が常駐せず,事件処理も停滞して,本来もっと多くの弁護士を支えられるはずの基盤が機能していないところでもあろうかと思います。同時に,国選事件などは儲からない事件と位置づけられ,これらの業務に疲弊する若手も多くみられるところと思われます。

さらに,裁判員制度にしても,官僚司法の打破と司法の民主化の理念とは裏腹に,裁判のショー化を懸念する声は根強くあるように思います。

加えて,徒弟制度的なOJTによる実務的教育がこれまで機能してきた訳ですが,急激な法曹人口増の前に新人を吸収しきれなくなった結果,実務家としての適格性に問題がある弁護士が市民にリーガルサービスを提供する現実が生まれてしまいました。ロースクール教育が即戦力たりうる実務家養成機関として不十分であるにしても,それをフォローすることが非現実的になりつつある訳です(若手に対する業務研修の提案はありますが)。

その上,会務運営上,対決から融和へという宇都宮候補の論旨に期待した会員も多くいらっしゃったことでしょう。それが今後の政策決定の場において実現されうるものなのかは不透明ですが。

こうした要因を考えれば,この選挙結果はむしろ当然の結果のように思えます。責任ある政策形成と会務運営を標榜しそれを実践してきたことに対する自負心を,これまで執行部を運営してきた主流派は強く持っていたと思います。それ自体は素晴らしいことですが,それが独りよがりになってしまい,多数派による押しつけになってしまってはいなかったでしょうか。私自身も主流派に身を置いて選挙を戦った人間なので,主流派に対してあえて批判的にものを言いますが,少数派の不満は,弁護士自治を危殆化させる無知論・政策への無理解として片づけられてはいなかったでしょうか。二年に一度の選挙の度のリップサービス,あるいはガス抜きで済ませられる問題と思ってはいなかったでしょうか。2000年の臨時総会で承認された法曹人口年間3000人増員について,どこまで本気の検証作業がなされ,それを踏まえた社会へのアピールがなされていたでしょうか。会員の多くに時間をかけて醸成された不満感や不安感を,組織選挙による知り合いへの架電という選挙手法論で交わせるなどと安易に考えてはいなかったでしょうか。そもそもそのような選挙手法は,法の支配の担い手としての自覚に基づく選挙手法といえるのでしょうか。こう考えてくると,今回の選挙結果を踏まえ,従来の主流派は政策形成のあり方に対する抜本的な改革の必要性を強く認識すべきというべきではないかと思います。

ですが,その一方で,そこでいう会員の不満感や不安感について,私にはこの段階に至っても,残念に思えるところがあります。それは,わざわざ法曹人口を増やして儲からない業務を拡大するよりも,今までのままでいたいという「本音」が,今回の選挙でも露骨に見え隠れするところがあったのではないかという点です。例えば,中小企業相談業務は,都市部では当たり前のことですが,地方では裁判業務が中心であまり浸透していないようです(過去の別稿に譲ります)。これを推進するための相談ダイヤル設置も都市部ほど地方は熱心ではないように感じますし,実際に相談を受けようにも一人事務所で自分が支部に裁判に出ているとなると,事務所には弁護士がいないという事態も地方では多いでしょう。それを避けるためにわざわざコストをかけてイソ弁を雇うかと,これに懐疑的な会員も多いのではないかと推測します。

この問題は,本来弁護士がどう食べていくかの問題ではなく,市民の付託にどう答えるべきかの問題ですが,しかし現実の厳しさの前に理念だけでは対応できない多くの会員がいたということではないかと結論付けざるを得ないように思えてなりません。

法曹人口論については,これまでの日弁連執行部は,政府の示した方向性に真っ向から反対するのではなく,内部の反対意見にも配慮しながらも,業務拡大による基盤整備やローススクール教育の充実,弁護士登録後の研修制度の充実などによって,世論との対立を避けつつ舵取りをして来たと思いますが,それは過去に法曹人口の増員に消極的な姿勢を示して業界のエゴと批判された経緯を踏まえてのことと思います。

そうした経緯をみるにつけ,幕末の幕府の対応がだぶって見えるのは私だけでしょうか。すなわち,諸藩で沸騰する攘夷論など非現実的で責任ある政策決定上あり得ず,かえって国家主権の喪失を招きかねないことから幕府は独断的に開国を進めました。しかし,それに対する反発が強まる中で,指導力を失った幕府は,攘夷を諸藩に実際にやるだけやらせた結果,下関でも鹿児島でもあっという間に完敗して,それが全く通用しない論であることを証明して見せました。この頃は議論が開国か攘夷か,佐幕か倒幕かで錯綜していた訳ですが,実際に攘夷で失敗することで,開国それ自体は揺らぐことなく推進されたのです。もとより,ペリー来航への対応に揺れ,桜田門外の変を経て,指導力を失った幕府はその後政権を失いますが,たとえ不平等条約を押しつけられたにせよ,国家主権・独立の維持には成功したのです。

この点,開国=増員受け入れ,攘夷=増員反対と位置づければ,団体を挙げて攘夷を一度派手にやってみれば,かえって開国路線を取りやすかったのかもしれませんね。私は,それは既に2000年前後の時期に十分経験したことと思っていたのですが(もちろん,増員論の検証の必要性はありますが),歴史を知らない若手会員が増えた今,もう一度攘夷をやらなければならないのかも知れません。

司法試験合格者大幅減員論が,国や市民にどれだけ理解され支持されるかは重大な懸念事項ですが,今回の選挙結果からすれば,試しにやるだけやってほしいという会員が多かったということでしょう。それが全く相手にされないとしても,実際に血を流せば多くの会員に理解されるのかも知れません。しかし,そこで流される血が弁護士自治の喪失ともなれば,幕末の国家主権維持にも比肩する最大利益を失うことになりかねません。幕末に発揮された危機状況でのバランス感覚が,これから攘夷をする上でこの団体においても発揮されることを願うばかりです。

今後の日弁連運営について,法務大臣の前掲発言を初め,早くも雲行きは不透明感を増していますが,会員の声に耳を傾けつつも,責任ある政策形成と会務運営を継続して頂きたいと思う次第です。


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法曹養成制度見直し論

法科大学院で自民議連が「緊急提言」

【 法科大学院のあり方をめぐっては、元法相の高村正彦衆院議員を会長とする自民党の議連「法曹養成と法曹人口を考える国会議員の会」も17日、「緊急提言」をまとめ、法改正も目指し党司法制度調査会などへ申し入れすることを決めた。】

(17日msn産経ニュース)

 緊急提言においては,法科大学院を中核とする法曹養成制度と法曹人口の年間3000人増員計画の「理想-幻想」(原文通り)として,法曹養成制度においては適性試験受験者数・社会人志願者数の急減,法律基本科目の授業時間数の不足や成績評価と修了認定の甘さなどを指摘しています。また,法曹人口増員についても,制度構築段階での法曹需要増加の論拠のずさんさ,その事後的検証の形跡の不存在,就職困難な弁護士の増加,法曹人口を増やしても司法過疎が解決されないことなどを指摘しています。

 その上で,提言として,(1)予備試験の簡素化・簡易化,(2)司法試験合格者数「目安」の撤廃,(3)養成課程の少数化・厳格化,(4)司法試験の受験資格制限の条件付き撤廃,(5)過剰な法曹人口を作り出さないよう努めること,を打ち出しています。

 この問題については,諸々の立場から意見対立があります。法曹需要が飽和状態になっている,という上記提言の基本認識についても,確かに現実問題として自由競争が激化していることを実感させられるところではあります。なるほど,司法制度改革論議が起こった際に議論されていた企業や官公庁などでの法曹需要はそれほど高いものとはなっていません。何より司法予算の増額の上で裁判官や検察官の増員によって,同時並行で多くの事件を処理できる体制を構築することが弁護士需要の支えになるはずですが,そうはなっていません。法曹需要の読み違いがなかったかと言われれば,なかったとは言い切れないところと思います。

 しかしながら,そのような外的要因ばかりではなく,弁護士側が法的ニーズをどこまで受け止め,掘り起こせているのかについて,努力不足を言われる余地もないでもありません。例えば,私が実際に調査に関わった中小企業の弁護士ニーズについていえば,専門性のある弁護士がフットワークよく中小企業の相談(それも経営相談を含めた幅広い相談)をフォローするという体制が,全国的にどこまで浸透しているのか,といった懐疑的な認識がアンケート結果などから浮き彫りになっています。象徴的には弁護士が裁判以外の相談業務をどこまで受けていると思われているかについて,都市部と地方とでは格段の意識格差が現れていますが,それは弁護士の取り組み状況の実態をそのまま反映しているものというしかないのでしょう。その意味で,弁護士側の努力不足を言われてしまう余地も残っているように思います。すなわち,法曹需要が飽和と安易に断定してしまうことで,市民への司法サービス提供の可能性を封じてしまう虞も感じる次第です。

 ただ,実際問題として,特に都会で弁護士を開業する場合には,固定コストもかなりかかり,それを就職難で司法修習終了後,直ちに独立しなければならない弁護士(いわゆる「即独」)が個人的に負担することは困難でしょう。自宅で弁護士登録をしてフットワークよく企業を回るというスタンスもあり得るところではあるのですが,経験が浅く事務所も持たない弁護士をクライアントは果たして選んでくれるのでしょうか。弁護士ニーズ全国調査でも,弁護士の専門性やコミュニケーション能力に対する期待感は明白になっており,それらを現状のような限られた期間での法曹養成によって実現することは自ずから無理というほかないように思います。それはむしろ実務経験によってこそ裏付けられるように思われてなりません。

 若手に対する指導体制の強化という視点も近時弁護士会内部では議論されていますが,それらも結局は先輩が後輩を指導する,マイスター的な職人的養成のあり方を薄く広く実行しようというに留まらざるを得ず,人数的な対応には自ずから限界があります。その意味で法曹需要の現状に対する再認識とその掘り起こしへの取り組み状況を踏まえた建設的な議論が求められると思います。

弁護士 田島正広




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いよいよ動き出す裁判員制度の行方

裁判員候補者数は7600人 水戸地裁 選挙管理委員会に通知

【 来年五月二十一日に始まる裁判員制度を控え、水戸地裁は二十五日、県内における裁判員候補者数を七千六百人と算出し、県内四十四の自治体に割り当てることを決め、各選挙管理委員会に通知したと発表した。各選管は選挙人名簿から候補者を選び、地裁が十二月中旬までに本人に通知する。】

(26日東京新聞)

 裁判員制度の導入には賛否いろいろ意見がありましたが,来年5月に実施されることが決まっていることから,各方面でその準備対応が本格化しています。裁判所や弁護士会での模擬裁判も多く実施され,既に多くの市民の皆さんが裁判員裁判のあり方を体験していらっしゃいます。

 その中,そうした模擬裁判を多く経験していらっしゃる裁判官の方のご講演をお聞きする機会が先日あったのですが,裁判員である民間の方々の反応が,裁判のプロである法曹とはかなり違ったものであることが紹介され,予想していたとはいえ大変な衝撃を受けました。例えば,①弁護側が,裁判官の目から観て素晴らしいと思える弁論を口頭で展開しても,パワーポイントを用意していないだけで裁判員には全く評価されず,それが結果的に弁護側の不出来として,事実認定や量刑にまで影響しかねない実態があるとのご指摘や,②15分~20分を超える論告・弁論は,それだけで量的限界を超えてしまい,裁判員に聴いてもらえないとのご指摘には,悲しいかな裁判のショー化とでも言わざるを得ない現実を突き付けられた感がありました。さらに,③検察側は組織的戦略的対応にて,その状況を克服するために様々な工夫を凝らしているとのことであり,パワーポイントを使った冒頭陳述や論告の仕方も日増しに上達しているとのこと。こうなってくると,もはやスポーツかゲームのような印象すら受けます。

 裁判員制度の導入される事件は,刑事事件の重罪事件ですから,人の一生がこのような形で左右されることには,非常に憂慮を覚えます。最後は裁判員の方々の良識に委ねられることになる訳ですから,裁判員に選ばれる方々の責任は重いと改めて言わざるを得ません。

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